北陸のローカル鉄道の現況   H.Suwaが独断と偏見で記載しています。    2024/07/17 更新
JR西日本城端線

発車したキハ40-2078+キハ40-2092高岡行き

平日の福光駅東口パーク&ライド駐車場

新高岡駅に到着するキハ47-1134+キハ47-36高岡行き

フェア開催中の砺波チューリップ公園 四季彩館前

 城端線は一般の利用客が非常に少ない。沿線の散居村地区では家族の数以上に車がある状況では、現状(1時間に1本の運行)のままでは乗客が増え
る見込みは全く無い。城端、福光、福野駅の大駐輪場が示すように砺波、高岡の高校への通学輸送のみという状況、少子化で福光高校が廃校となり、
高校生の利用は増えて通学時間帯には100%超えの酷電状態の列車も発生している。

 城端・氷見線事業再構築計画で氷見線と共に、あいの風とやま鉄道へ移管されることが決まった。2034年3月末までの10年間で、おおむね5
年以内に事業主体をJR西日本から、あいの風鉄道に移管する。新型車両を採用し、毎時決まった時刻に発車するパターンダイヤを導入して、新駅を
設けて集客を図る。

 新型車両の導入など施設整備費に342億円、経営安定の支援に40億円を投じる。資金は国が128億円、富山県が75億円、高岡市など沿線4
市が75億円、残る104億円をJR西日本が負担する。同社が拠出する金額は、計画終了後に経営安定のために基金に積み立てる分も含めて150
億円となる。

 まず、最初に2025年にIC乗車券ICOCAの導入をJR西日本が行う。現在、北陸新幹線からあいの風とやま鉄道への乗り継ぎ客用に城端線
新高岡駅にICOCA改札機が設置されているが、砺波、城端、氷見方面への観光客が使用してトラブルが発生している。ICOCA改札機は七尾線
のような車載式ではなく、あいの風とやま鉄道に合わせ駅設置となる。

 次にJR西日本が路盤整備を行う。城端線で使用しているキハ40系は1980年から1982年にかけて製造されたもので、エンジン装換、冷房
化、客室リニューアルが行なわれているが、約40年経過し老朽化している。車両の最高速度は95km/hだが75km/hで横揺れが激しくなり、城端
線の最高速度85km/hは出せない状態。加速が悪いのも問題。

 福光駅や城端駅にパーク&ライド駐車場が整備されているが、パーク&ライド駐車場を利用する人は富山市や金沢市へ通勤する人が多く運賃が高く
時間がかかることから福光や城端を敬遠し、あいの風とやま鉄道の福岡駅や石動駅のパーク&ライド駐車場を利用する。最近、福光駅東口に大規模無
料パーク&ライド駐車場が整備され富山市への利用は増えている。2022年度の輸送密度は2481人。

   
JR西日本氷見線

観光客を乗せて氷見駅に到着したキハ47-1064+キハ47-36

雨晴駅付近からの立山連峰

旧制高校生のために誕生した越中中川駅 今も朝は多くの高校生で溢れる

氷見線からの入庫経路で城端線新高岡駅へ向かう観光列車「べるもんた」

 行商の魚売りや、大勢の海水浴客を運んだ氷見線も終焉の時が近づいているのか。氷見からは海老坂越えの国道160号線と海岸廻り国道415号
線の2本の幹線道路が高岡市に通じている。ここにきて能越自動車道が開通して乗客は減る一方である。30分間隔で運行して利便性を向上させなけ
れば利用客は増えない。新駅を設けて集客も必要。日中の氷見駅は休日は観光客の利用があるが、平日は閑古鳥鳴いている。

 城端・氷見線事業再構築計画で城端線と共に、あいの風とやま鉄道へ移管されることが決まった。2034年3月末までの10年間で、おおむね5
年以内に事業主体をJR西日本から、あいの風鉄道に移管する。新型車両を採用し、毎時決まった時刻に発車するパターンダイヤを導入して、新駅を
設けて集客を図る。

 新型車両の導入など施設整備費に342億円、経営安定の支援に40億円を投じる。資金は国が128億円、富山県が75億円、高岡市など沿線4
市が75億円、残る104億円をJR西日本が負担する。同社が拠出する金額は、計画終了後に経営安定のために基金に積み立てる分も含めて150
億円となる。

 まず、最初に2025年にIC乗車券ICOCAの導入をJR西日本が行う。現在、北陸新幹線からあいの風とやま鉄道への乗り継ぎ客用に城端線
新高岡駅にICOCA改札機が設置されているが、砺波、城端、氷見方面への観光客が使用してトラブルが発生している。ICOCA改札機は七尾線
のような車載式ではなく、あいの風とやま鉄道に合わせ駅設置となる。

 日中の公共交通利用は乗り換えなしで高岡市の目的地へ行ける、石川県境付近から走ってくる加越能鉄道の路線バス利用に移っている。一時、加越
能バスの料金値下げで高岡駅−氷見駅間はバスの方が安くなったが、現在は氷見線330円、加越能バス410円。中高生の目的地高岡イオンモール
までは氷見線+加越能バス490円、加越能バス410円となっている。

 観光列車で城端・氷見線の直通運転が行なわれているが、高岡駅通過に20分間をみている。1、2分で通過させるには何カ所ものポイント(分岐
器)が必要で、信号設備改修も含め数十億単位の費用が発生する。そこまでして直通化させる必要があるか疑問。但し、新高岡駅へ乗り換えなしで行
けるようになるため、氷見からの要望は多いが、城端線沿線は不要という意見が多い。2022年度の輸送密度は2157人。

   
JR西日本高山本線

社会実験で造られた婦中鵜坂駅           2008/03/15

風の盆輸送の4両編成

富山駅に到着する名古屋−富山間の特急「ひだ3号」     

風の盆の町流し                   2018/09/03

 この路線は1年に3日間、大都市のラッシュ時並に混む時がある。それはおわら風の盆で4両編成でも満員であり高山本線の重要な収入源となって
いる。また、速星、八尾地区は富山市のベッドタウンとして発展しており平成の大合併でJR西日本区間全てが富山市となり、富山市よって増発社会
実験も行われた。2008年3月15日に新駅の婦中鵜坂駅が臨時駅として開業し、2014年3月15日に常設駅となっている。

 この年、富山−越中八尾間が30分間隔になり乗客も増え、富山県内の鉄道が軒並み輸送人員を減らす中、高山本線のみが唯一増加に転じた。(富
山ライトレール、万葉線は微減)

 
増発社会実験が終了して富山−越中八尾間が1時間間隔、越中八尾−猪谷間が2時間間隔に戻っている。2005年10月のダイヤでは富山−越中
八尾間が平日17往復と富山−速星間が1往復で、2024年3月のダイヤでは富山−越中八尾間21往復、越中八尾−猪谷間が10往復となってい
る。この他にJR東海の特急「ひだ」が4往復走っている。


 富山市都市交通協議会は高山線の活性化策で、西富山駅で西口新設を目指すほか、次世代車両(ハイブリッド型など)への転換、新車両導入に合わ
せ、あいの風とやま鉄道への乗り入れ、富山〜越中八尾間での増便、朝のピーク時の増車、ICカード導入について、実現に向けて約3年間検討を進
める。

 高山線を運行するJR西日本はこれまで、都市部で得られた利益を地方の路線に回してきが、新型コロナウイルスの感染拡大でオンラインでの勤務
が浸透し、都市部での収入が減少。地方に充当しにくくなっており、経営は厳しさを増している。

 富山市と富山県、JR西日本は、高山線活性化を目指すブラッシュアップ会議の基本計画で、今後の運営形態として3パターンを想定している。
 @ 市が駅舎や線路、車両などの鉄道施設を維持管理し、JR側が運行する上下分離方式
 AJR側が施設を保有して運行し、運行に関する維持管理費を市が担うみなし上下分離方式
 B別の事業者(あいの風とやま鉄道・富山地方鉄道)への移管
 の三つで、市が試算している。

 今後、10年間の設備投資額やランニングコストなどを本格的に試算し、2024年度中に方向性を出す考え。市長は、高山線は住民の暮らしに欠
かせない社会インフラだと強調し市の財政負担額に対する効果を検証するとしている。2022年度の輸送密度は1830人。

   
富山地方鉄道本線

電鉄富山駅を発車した20020系

寺田駅を発車した17480系

北陸新幹線ホームから新黒部駅を発車した14760系宇奈月温泉行き

大原台公園から宇奈月温泉駅街

 北陸新幹線長野−金沢間が2015年3月に開業し、本線の富山と宇奈月温泉を結ぶ役目は終わった。黒部宇奈月温泉駅が分離駅となったため、黒
部・魚津地区では新幹線連絡鉄道の役割を担うが、黒部宇奈月温泉駅は、新高岡駅同様パークアンドライド大駐車場が整備されるので地元客の利用は
厳しい。宇奈月温泉の送迎バスや黒部峡谷鉄道のシャトルバスが黒部宇奈月温泉駅へ乗り入れれば宇奈月温泉−新黒部間の存続はむずかしい、特に黒
部峡谷鉄道のシャトルバスは通過型観光になり温泉街の衰退をもたらすが、幸い送迎バスや、シャトルバスの乗り入れは行われていない。新幹線開業
前の2015年2月26日に新黒部駅が開業している。

 電鉄富山−滑川間では通勤・通学輸送に重要な役割を果たしており、沿線の各自治体では新駅の増設やパークアンドライドの駐車場の設置で電車の
乗客と住民の獲得に力を入れているが、あいの風とやま鉄道との並行区間では乗客が少なく、路線を維持できない状態になっている。

 富山地方鉄道の鉄道3路線の持続可能な運営を目指し、沿線の富山市、滑川市、魚津市、黒部市、上市町、立山町、舟橋村が協議会をを立ち上げる。
富山地方鉄道の中田邦彦社長は、線路や車両などの鉄道施設を自治体が保有するとみなす「みなし上下分離方式」を念頭に「施設の費用負担を(自治
体に)お願いしていきたい」と述べ、協議会は2024年度中に存続の在り方の方向性をまとめる方針。

燃料価格の高騰に加え、新型コロナウイルスによる利用低迷も尾を引き、5月28日発表された2024年3月期決算で鉄道事業の赤字額は9億91
27万円に上った。経営状況がさらに悪化すると、現在のダイヤを維持することが困難になるため、今夏から沿線自治体が3路線の持続可能な運営形
態を考えていくことになっている。

 協議会では、国の支援制度に基づき、@自治体が駅舎や線路、車両などの施設を保有・維持管理し、富山地鉄が運行する「上下分離方式」A富山地
方鉄道が施設を保有して運行し、維持管理費を自治体が担う「みなし上下分離方式」Bあいの風とやま鉄道への経営移管の3案を検討する方針。

 富山地方鉄道の一番の問題点はあまりにも運賃が高いので、あいの風とやま鉄道並みの運賃にする必要がある。高い運賃は観光客向けで地元の利用
者の多くを占める高齢者は格安乗車券を利用して安く利用できていた。それよりも多くの利用を占める高校生の通学定期がJR西日本やあいの風とや
ま鉄道より割高なのが問題になっていた。

   
富山地方鉄道立山線

立山駅に停車中の特急「アルペン4号」と「アルペン1号」

五百石駅が入る立山町元気創造館

岩峅寺駅に停車中の16010系立山行き

沿線の観光 立山みくりが池・称名滝・有峰湖・常願寺川砂防ダム群

 この路線は立山黒部アルペンルートへの観光客輸送と立山町の通学輸送が主で、立山黒部アルペンルートの一部となっている。コロナ禍も収束し、
2024年4月のダイヤ改正で特急列車が復活した。電鉄富山−宇奈月温泉間の特急は廃止されたが、休日のみアルペン号が宇奈月温泉−立山間でア
ルペンルートか営業するシーズン中の運行される。特急は他に宇奈月温泉と新黒部間のシャトル特急以外は、立山線関連のみとなった。

 電鉄富山−立山間のノンストップ特急を運転し、大都市での営業活動に力を入れ観光輸送に特化して存続を図るべきである。ノンストップ特急は運
転停車を無くし(正常時ダイヤでは必ず普通列車が先着して待つ)寺田も通過する。
常願寺川沿いでは岩峅寺−立山間でトロッコ列車も運行する。

 首都圏では公共交通の便利さからマイカーを持たない人も多く、やり方次第では鉄道利用の登山客確保も可能。北陸新幹線長野−金沢間開業で夏山
シーズンは多くの登山客が乗るようになった。本線列車に比べると夏の立山線は乗客が多い。

 オフシーズンは線路維持の必要もあり、通学時間帯以外全て岩峅寺止まりとして本数を増やす。立山−岩峅寺間は立山町営バスで代替輸送する。

   
富山地方鉄道上滝線

小杉駅を発車した10030系電鉄富山行き

栄町駅に停車中の17480系岩峅寺行き

大川寺駅発車時の17484車内 途中駅は南富山・稲荷町以外は無人駅

南富山駅が最寄りの富山中部高校

 平成の大合併で終点の岩峅寺以外は全て富山市内を走っており、住宅地の伸展に伴い運行形態も変更すべきか。日中の岩峅寺口での輸送人員は極端
に少なく2、3人で0人の場合もある。こんな状態で発車した列車も上滝駅から乗客が増え始め、下校の通学時間帯なら小杉駅から女子高生が多く乗
り込み車内は一気に賑やかになる。小杉駅最寄りの富山南高校は共学校だが、男子生徒は自転車通学が多い。

 通勤通学輸送は南富山で市電に乗り換えるパターンが多く、南富山−布市間の乗客が多くなっている。また、利用客のほとんどが通勤通学の定期利
用客である。南富山駅近くに富山中部高校と富山いずみ高校がある。

 2008年4月1日から「おでかけ定期券」を利用することにより富山市民で65才以上の人は往復200円で電鉄富山駅へ行けるようになった。
この制度は福祉目的よりも中心市街地活性化を目的としているため降車駅が電鉄富山駅、南富山駅のみなど制約条件が多く高齢者対象のショッピング
センター「アピア」のある稲荷町駅では下車できない。地鉄を頻繁に利用する高齢者は地鉄が63才以上に発行するゴールドパスが便利で、年間定期
だと1日あたり188円、1カ月定期では240円となる。

   
富山地方鉄道市内軌道線・富山港線

富山駅に停車中のT102岩瀬浜発富山大学前行き

南富山駅前に停車中のT104大学前行き

富山大学前を発車した7016南富山駅前行き

荻浦小学校前で行き違う0606岩瀬浜行きとT104南富山駅前行き

 富山市内軌道は不採算路線の廃止が行われ、優良路線のみが生き残っているが、日中は輸送のほとんどが西町−富山駅前間に集中しているが均一料
金のため赤字とはなっていない。南富山付近と大学前付近に高校が合わせて4校あり、通学輸送でも重要な役割を果たしている。5〜10分間隔で走
る路面電車は観光客にも利用しやすく、富山市内での移動を便利なものにしている。

 路面電車が廃止された金沢市ではどのバスに乗ったら目的地へ行けるのか判りづらい。また市外からの観光客はどのバスに乗ったら目的の観光地へ
行けるか判らないので、行き先が観光地に限定される金沢周遊バスはいつも満員。

 2009年12月23日に環状線が開業したが、今のところ富山駅前−西町間の乗客を奪っただけで、新たな需要の掘り起こしには至っていない。(珍しさや、子供や孫を乗せて何周かする遊園地代わりの需要がある。)

 富山ライトレール富山港線は開業時から富山地方鉄道に運行委託されていたが、2020年3月21日の軌道線南北直通化で富山地方鉄道と合併し
て富山地方鉄道富山港線となった。

 2024年4月15日のダイヤ改正で、軌道線の系統は富山駅−南富山、富山駅−富山大学前、富山大学前−南富山、環状線、岩瀬浜−南富山、岩
瀬浜−富山大学前、岩瀬浜−環状線の7系統で、南富山−富山駅−富山大学前は7から8分間隔の運転となった。南富山発は富山大学前行きと岩瀬浜
行きとなり、富山駅行きは回送を兼ねたもののみとなった。富山大学前発は南富山行きと岩瀬浜行きで、越中中嶋止まりと富山駅どまりがある。
 岩瀬浜発は南富山駅前行きと富山大学前行きが1時間に1本、環状線が1時間に2本となり、環状運行は30分間隔となっている。IC乗車券「え
こまいか」の割引運賃は180円から190円になり、割引率か縮小された。 

   
万葉線竃恬t線

高岡駅に停車中のドラえもんトラム越ノ潟行き

7074越ノ潟行き 庄川橋梁

七夕飾りと万葉線電車 末広町駅から

海王丸パーク(海王丸・立山連峰・新湊大橋)

 2002年4月1日から全国初の第3セクター路面電車として新会社による運行が開始された。車両や駅は明るくなったが、少子化の影響から利用
者が増える見込みはない。収支を問題にすれば存続はむずかしい。射水市のコミュニティーバスと万葉線を活用した公共交通網整備で潜在需要を開拓
できるか、年間定期券や学期定期券の発行で通学利用客を増やしたが、更なる自転車通学者を万葉線利用に転向させられるか。

 第3セクター化後は自治体の支援や、イベント輸送などで利用客は微増を続け2007年からは微減に転じたが、2010年からは再び増加傾向と
なっている。2012年9月から運行を開始したドラえもんトラムが人気を集め運行は12年目に入っている。ドラえもんトラム乗車が台湾からのツ
アーに組み込まれるなど人気が続いている。

 2024〜2025年にかけてICOCAが導入される。読み取り装置は既に全車両に取り付けられている。2023年度は利用者数が107万6
65人まで回復し、2024年度は111万人を目標にしている。車両は全て冷房車となった。

 決算は国や県、高岡市、射水市の補助で黒字を確保している。

   
JR西日本七尾線

金沢駅に到着する521系七尾線列車   Tpc520-111+Mc521-111

IRいしかわ鉄道所有車が3編成あるが所有者が異なるのみ

七尾線521系車内  Tpc520-102

能登かがり火は元しらさぎ用683系2000番台で運行されている。
 和倉温泉まで電化されたが、七尾−金沢間に1時間20〜30分を要している。交換駅での待ち時間が長くもっとスピードアップすべきである。北
陸鉄道の特急バスは1時間20分で走っている。料金はバス1310円、電車1280円でJRの方が僅かに安い。

 七尾口の各駅にはパーク&ライドの駐車場が自治体の手で整備されている。電化を機に線形が改良され交換可能駅は1線スルーとなり特急は七尾−
金沢間を1時間以内で走っている。

 特急列車は和倉温泉への観光客輸送が目的のため、主要駅の津幡や宇ノ気に停車する列車は少ない。金沢−宇ノ気間は特急17分、普通25分で停
車のメリットが少ないためか。

 車両は直流電車115系を改造した415系800番台と北陸本線521系化で余剰となった413系が使用されていたが、2020年3月から全
車両が車載式ICOCA改札機を設置した521系100番台に置き換えられた。

 石川県の加賀と能登を結ぶ重要な路線で、このままの形で運行される。2022年度の輸送密度は3428人。
   
北陸鉄道浅野川線

北鉄金沢駅に停車中の03系 03-830+03-130

地下にある北鉄金沢駅

浅野川沿いに走る浅野川線

大野川橋梁を渡る03系北鉄金沢行き 03-830-03-130  Wikipediaから
 内灘地区は金沢市のベッドタウンとして発展が目覚しく、金沢口の車の渋滞から利用者が増え始めている。北鉄金沢駅の地下駅が完成し更に都会的
な電車になり、利用客も増加が期待される。利用客のほとんどが終点内灘までの直通客であり、2000年3月のダイヤ改正では急行が増便されたが、2006年のダイヤ改正では急行を運行しても時間短縮にはならない為、通過駅での乗車機会を増やすためすべての列車が各駅停車となった。

 この路線は1年に一度大混雑する時がある。それは加賀百万石まつりが開催される日で、北鉄金沢駅到着時には身動きがとれないくらいの超満員と
なる。混雑する時間帯は車掌が乗務し、通常は折り返して内灘に向かうが車内温度が上がるため、到着車両は使わず、反対側ホームで待機している冷
やした車両を使用する。この日はマイカーで出掛けても駐車する場所が無く、バスは渋滞に巻き込まれ電車が一番!。2024年は6月1日(土)に開
催された。

 車両は京王電鉄井の頭線の3000系を8800系、8900系として使用されていたが、全て元東京メトロ03系に入れ替えられた。

 鉄道への理解が低かった石川県知事と金沢市長が代わった。北陸鉄道は2024年5月27日、赤字が続く鉄道線の存続に向けて馳知事に対し、持続
的な運行に向け支援を要望した。 北陸鉄道の石川、浅野川両線に対して沿線の金沢市、野々市市、白山市、内灘町町は、2023年8月に鉄道を存続
させる方針を決定、設備投資や維持管理費を自治体が負担する「みなし上下分離方式」を導入する。 北陸鉄道の宮岸武司社長が馳知事を訪れ「みなし
上下分離方式」の導入へ支援を要望し、馳知事は県が支援することに決めた。この後、国の支援を得るための特定事業計画の策定する。

 バス転換も検討されたが、現状でもバスの運転手不足で減便が続いているため、自治体が支援して鉄道を存続させることになった。

   
北陸鉄道石川線

新西金沢駅に到着する7700系鶴来行き

新駅の陽羽里駅

野々市工大前駅を発車した発車した7100系野町行き

新駅の陽羽里駅
 JR金沢駅と繋がっていないこともあって日中は閑散としている。電車は全て2連であるが、ワンマン運転のため乗客が乗っているのは先頭車両だ
けである。北陸鉄道では日中空の2両目を利用して自転車を電車に持ち込めるサイクルトレインを実施している。持ち込めるのは高校の夏休み期間中
と日曜、祝日となっている。地下鉄で浅野川線と繋がり、JR金沢駅乗り入れが実現すれば乗客の大幅な増加が見込める。2006年のダイヤ改正で
は準急を運行しても時間短縮にはならない為、通過駅での乗車機会を増やすため、すべて各駅停車となった。

 2008年11月に鶴来−加賀一宮行間の末端区間が廃止され、残った区間も減便となった。廃止理由は設備の老朽化に対応できないということで
野町−鶴来間も同様だが、白山市などの補助金で運行を継続している。

 2015年3月、白山市が開発している大規模住宅団地に新駅の陽羽里駅が誕生した。この路線は金沢市、野々市市、白山市を走るが各自治体の路
線への対応には温度差があった。住宅団地は駅より白山市側はほとんど住宅が建っているが金沢市側には空地がある。

 鉄道への理解が低かった石川県知事と金沢市長が代わった。北陸鉄道は2024年5月27日、赤字が続く鉄道線の存続に向けて馳知事に対し、持続
的な運行に向け支援を要望した。 北陸鉄道の石川、浅野川両線に対して沿線の金沢市、野々市市、白山市、内灘町町は、2023年8月に鉄道を存続
させる方針を決定、設備投資や維持管理費を自治体が負担する「みなし上下分離方式」を導入する。 北陸鉄道の宮岸武司社長が馳知事を訪れ「みなし
上下分離方式」の導入へ支援を要望し、馳知事は県が支援することに決めた。この後、国の支援を得るための特定事業計画の策定する。

 バス転換も検討されたが、現状でもバスの運転手不足で減便が続いているため、自治体が支援して鉄道を存続させることになった。
   
のと鉄道

能登中島駅に停車中の「能登里山号」

NT211穴水行き車内

能登鹿島駅に停車中の「能登里山号」

のと鉄道穴水駅
 2001年3月に穴水−輪島間が廃止されたが、穴水−蛸島間も2005年3月をもって廃線となった。穴水−七尾間は、七尾、七尾商業、七尾城
北、鴨学園、田鶴浜、中島、穴水の各高校への通学需要があり、氷見線などと状況は同じで、当分は存続する。ただ少子化により高校の配置が見直さ
れ中島高校は廃校となった。

 穴水町の能登鹿島駅はホームが桜並木になっており、毎年開花時期には大勢の花見客が訪れる。花見は列車で訪れてほしいが、国道が駐車する車で
渋滞するため、穴水駅側に60台規模の駐車場設けられた。

 2015年4月29日から観光列車「能登里山号」の運行を開始した。使用車両はNT200形をベースに観光仕様で新製されたNT300形。土
日祝日に飲食プランのある「ゆったりコース」を5本、月火木金曜に1両を普通列車に連結して3往復運行している。

 JR西日本が第3種鉄道事業者として線路を保有しており、のと鉄道は第2種鉄道事業者としてJR西日本の線路を借りて列車を運行するだけの自
社で線路を持たない鉄道会社となっている。 七尾−和倉温泉の電化区間はJR西日本が第1種鉄道事業者として運行している。

 のと鉄道の出資比率は約51%が石川県などの自治体で、自治体の出資比率は低い。残りは金融機関、一般企業、個人が出資している。線路借賃は
安く上下分離となっている。
   
福井鉄道福武線

田原町駅でえちぜん鉄道三国芦原船へ乗り入れるF1001

足羽公園口駅に到着するF1002

たけふ新駅に停車中の770形普通田原町行きとF1002急行鷲塚針原行き

足羽川右岸堤防の桜並木
 JR北陸本線と平行しているが駅の数が多くこまめに停車することで乗客を獲得している。土、日、祝日もショッピングセンターベルへの買い物客
の需要もある。市役所前−田原町間は時間がかかり利用が少ない。グループ会社の名鉄の路面電車タイプを導入しホームを嵩下げしてLRT化された。

 2007年にグループ会社の名鉄が福井鉄道から撤退を表明し、福井鉄道は福武線沿線自治体に第3セクター化を提案した。
全国で初めて鉄道事業
再構築実施計画
を国土交通省から認定された。福井鉄道は1種鉄道事業者のまま、10年間で福井県から21億円、国から10億円の設備投資補助を
受け更に鉄道用地を沿線の福井、鯖江、越前の3市に売却し3市から無償で借りることにより固定資産税の負担を無くす。

 2016年3月27日にえちぜん鉄道三国芦原線との相互乗り入が開始された。相互乗り入区間は、越前武生−鷲塚針原間で急行列車として運行さ
れている。相互乗り入区間はフェニックス田原町ラインの愛称が付けられている。


 
元々福井市内−武生新間390円で運賃は安かったが、休日フリー乗車券により550円で往復できるようになり、休日の乗客は増加している。普
通運賃は2024年7月現在、福井市内区間(田原町−商工会議所前)−越前武生間が450円、休日フリー乗車券は600円となっている。

 2016年3月にえちぜん鉄道と相互乗り入れと福井駅前へ150m延伸が行われた、大名町交差点の短絡線設置が予定されているが実施が遅れて
いる。
   
えちぜん鉄道勝山永平寺線

勝山駅舎

8000形恐竜列車               画像:えちぜん鉄道から

永平寺口駅で行き違いする7001形福井行きと5101形勝山行き

福井県立恐竜博物館         画像:福井県公式観光サイトから
 京福電鉄越前本線は第3セクターえちぜん鉄道に引き継がれ勝山永平寺線として存続することになったが状況が厳しいことに変わりはない。かつて
喘ぎながら走っていた京福時代に比べ線路や車両が格段に良くなり、沿線自治体の努力もあって乗客は微増を続けている。休日はフリー乗車券1,200
円の浸透で休日も2両編成で走る列車が増えている。

 えちぜん鉄道では2003年7月の開業以来アテンダントが乗務している。乗務するのは10時台から16時台に運行する列車で車内で高齢者や障
害者の手助けをしたりフリー乗車券を含む乗車券の発券や沿線の観光やイベントの案内、グッズの販売などを行っている。

 2014年に勝山駅と永平寺口の駅舎が改築された。勝山市の県立恐竜博物館がリニューアルオープンしてからは博物館を訪れる人が増え、予約制
「きょうりゅう電車」がMC7000形2両編成で運行されていたが、2023年7月15日から専用車両8000形を利用した「恐竜列車」に変わ
った。 第3セクター化されており生活になくてはならない路線として定着している。
   
えちぜん鉄道三国芦原線

三国港駅に到着したMC6110+MC6109福井行き

新田塚駅に停車のL-01越前武生行き

福井口駅を発車したMC7011+TC7012三国港行き

国指定の天然記念物・名勝 東尋坊
 京福電鉄三国芦原線は第3セクターえちぜん鉄道に引き継がれ存続することになったが状況が厳しいことに変わりはない。1年に1度三国の花火大
会では鉄道の輸送力を見せつける。

 新田塚までは市街地を走るため潜在需要があり2007年に新駅の八ツ島駅と日華化学前の2つの駅が新設された。2015年9月27日には新駅
まつもと町屋駅がも開業した。

 2016年3月27日に福井鉄道との相互乗り入が開始された。相互乗り入区間は、鷲塚針原−越前武生間で急行列車が運行されている。相互乗り
入区間はフェニックス田原町ラインの愛称が付けられている。第3セクター化されており生活になくてはならない路線として定着している。
   
JR西日本越美北線(九頭竜線)

福井駅を発車したキハ120-203越前大野行き

九頭竜湖駅前の恐竜の親子像

越前大野駅舎

天空の城 越前大野城
 谷筋を走る越美北線は国道158号線に完全に平行している。観光シーズン以外は乗客のほとんどが福井−越前大野間の利用であり、国道が整備さ
れた現在、大野−九頭竜湖間はバス代替が可能であり将来は非常に厳しい。

 2024年7月現在、大野−九頭竜湖間は1日わずか5往復である。高校生の通学輸送のみか。福井−越前大野間も1日わずか8往復である。勝山
市までのえちぜん鉄道33往復とは比べものにならない。

 全列車がキハ120形で運転され、ほとんどの列車が単行の1両編成で運転されるが、福井駅−越前大野駅間ではラッシュ時の一部列車は2両編成
平日朝の上り1本は3両編成で運転されている。越前大野駅−九頭竜湖間はすべて単行。2両編成列車は越前大野で分割・併合する。2022年度の
輸送密度は318人。(大糸線のJR西日本区間108人、)

 このままでは廃線は確実で、残す場合は第三セクター化して越前大野まで30分間隔で運行する。越前大野−九頭竜湖間は観光用として残すか廃線
とする。キハ120は老朽化しており、電気式の20m級車両に替える。
   
JR西日本小浜線

美浜駅に到着するMpc125-18+Mpc125-17+Mpc125-16敦賀行き

三方駅舎

小浜駅舎

粟野駅に到着するMpc125-8+Mpc125-14敦賀行き
 小浜市は福井県ではあるが京都府の舞鶴市と結びつきが深い。小浜市より東側では流れは敦賀へ向かっている。沿線には原子力発電所が多く立地しこんなに電気を作っているのに、何で小浜線を気動車が走っているのかと地元の人は長年悔しい思いをしてきたが、ようやく電化されて新車が投入さ
れた。
 北陸本線の敦賀まで直流化された福井県嶺南地方は福井より滋賀県、京都府との結びつきが強くなっている。電化に伴いホームは整備され、駅舎も
「電源立地地域対策交付金」で立派なものが新築されている。また、原発による交付金があるためか、元々の無人駅以外は他線では無人駅となってい
る規模でも自治体への簡易依託駅となっている。

 北陸新幹線敦賀開業で小浜−大阪間の高速バスは廃止となった。敦賀での乗り換えは100m以上歩く必要があり、在来線で敦賀へ来て急がない人
は新快速で関西方面へ向かった方が楽。関西連絡特急は全席指定となっている。大阪まで新快速2時間15分、特急1時間20分。

 存続させるには第三セクター化して運行本数を増やす必要がある。 2022年度の輸送密度は864人。(大糸線のJR西日本区間108人)