福井鉄道はJR武生駅から福井寄り約300mにある越前武生を起点とし、福井市内の田原町までの 20.9kmと市役所前−福井駅前間0.5 kmの計21.4kmの路線で赤十字前―田原町間は路面電車の性格を持っている、赤十字前―越前武生間は鉄道線である。 福井鉄道は2006年4月1日に名鉄岐阜地区の600V線区間で使用されていた車両を使ってLRT化された。ホームは路面区間以外のす べての駅で嵩下げされ、鉄道線の大型車両は全ての駅でステップを降ろす。名古屋鉄道からは770形4編成、880形5編成、800形2両 が譲渡された。770形はパンタグラフを2個搭載していたが800形と同じシングルアームパンタ1個になり、鉄道線車両に合わせて台座が 嵩上げされている。 福井鉄道の沿線は福井市、鯖江市、越前市の3市で、JR北陸本線とほぼ平行して走っているが駅の数が多く、こまめに停車することで利用 者を確保している。各地でローカル私鉄が廃止となっているが、福井鉄道は福井県で最も人口密度の高い地域を走っているので利用が極端に落 ち込むことはないと思われる。 2006年4月のLRT化に際してすべて福井駅前へ入るようになり、市役所前−田原町間は歩いた方が早いほど時間が掛かるようになって いた。2007年10月に幸橋の新橋が開通したため幸橋仮橋の前後での信号待ちが無くなり時間短縮のため、日中の列車はすべて福井駅前発 着となって福井駅前−田原町間はモ800形を使ったシャトル便が運行されるようになった。しかし接続しない列車があるシャトル便は評判が 悪く、2010年3月25日から福井駅前経由で直通するようになった。 2010年3月25日に駅名変更が行われ、福井鉄道特有の後ろに新が付く武生新、福井新が共に変更になって消滅した。 2011年3月20日に泰澄の里駅、清明駅開業し、2013年3月31日に超低床電車F1000形1号車が投入され、2015年に1編 成、2016年に2編成が追加投入され、4編成となっている。 2016年3月27日に田原町駅でえちぜん鉄道三国芦原線の鷲塚針原駅まで乗り入れる相互乗り入れを開始した。相互乗り入れ列車は急行 として運転される。三国芦原線内は中角駅のみ通過する。駅前線を延長して福井駅前電停を福井駅西口広場に移設し福井駅電停に改称した。木 田四ツ辻を商工会議所前に、公園口を足羽山公園口に改称、併用軌道区間はすべて急行が停車するようになった。2018年3月24日に市役 所を福井城址大名町へ改称した。 2018年の運行は普通列車のみ1時間に2本福井駅へ乗り入れる。15時〜18時台は急行も1時間2本になっている。急行が停車しない 駅は30分間隔となっている。急行は福井城址大名町−越前武生間を45分で結んでいる。JR北陸線は福井−武生間21分で結んでいる。福 井鉄道の本社は武生にあるため、越前武生行きが上り、福井行きが下りとなっている。 田原町―仁愛女子高校―福井城址大名町―足羽山公園口―商工会議所前―赤十字前―花堂―ベル前―江端―清明―ハーモニーホール―浅水― 泰澄の里―三十八社―鳥羽中―神明―水落―西山公園―西鯖江―サンドーム西―家久―スポーツ公園−北府―越前武生 その他に福井城址大名町―福井駅の通称ひげ線がある。 赤字は急行停車駅
越前武生駅は福武線の起点で、JR武生駅からアルプラザ武生を挟んだ福井寄りにあり、北陸本線の傍に2面の櫛形ホームと3線の発着線を 持っている。通常両面のホームが使える2番線が多く使用される。3番線は車輌が止めてあり日中はほとんど使用されない。3番線の更に北陸 本線側に留電線がある。福井寄りの北陸本線脇に洗車機を備えた側線がある。 JR武生駅との間にアルプラザ平和堂がある。平和堂はは駅近くへの出店が多く、高校生や高齢者にも使いやすい ショッピングセンターである。
越前武生を発車した電車は半径160mの急曲線を左にカーブし、家並みの中を少し走るとすぐに福井鉄道の本社と車輌基地のある北府であ る。ここでは保線用の貨車や電機が止めてあるのが見られる。現在、車両基地には路面タイプの車輌が多く入ったため、電機や大型車両は各駅 に分散留置されている。ホームは相対式の行き違い可能駅。
北府を過ぎ、続く工場地帯を過ぎると新設駅のスポーツ公園駅となる。スポーツ公園駅を過ぎると民家もまばらになり、スポーツ公園−サン ドーム西間で日野川の鉄橋を渡る。 家久は田園地帯の中にあり駅のすぐ横が吉野瀬川の河川敷になっている。 島式ホームの行き違い可能駅である。家久より先日野川の鉄橋ま では完全な田園地帯となる。右に急カーブして日野川を渡ると鯖江市に入り民家が建ち並ぶ。鯖江市内は家並みを縫って走り、急カーブの連続 でスピードは出ない。サンドーム西駅は片面ホームで駅から約300mの所に鯖江高校がある。
鯖江市の中心部にあり、相対式ホームの行き違い可能駅ですべての列車が停車する。急行が走る時間帯のみここで行き違いが行われる。日中 は水落駅で行き違いする。2番ホームに待合室がある。LRT化に際しては乗降部のみ嵩下げされ、待合室と待合いスペースは元の高さになっ ている。女性駅員が配置された有人駅で自動券売機も設置されている。JR鯖江駅は南東約700m、西山公園の南口まで約100m。
西山公園近くには鯖江市役所があり、駅の西側に西山公園がある。片面ホームの無人駅でLRT化される前は、つつじ祭りの際 駅員が配置されていた。西山公園は国道417号線(元の国道8号線)を挟んで、西山と長泉寺山にまたがる市民公園で、国道より 駅側には日本庭園が整備されている。公園内の動物園ではレッサーパンダが飼われている。
水落は島式ホームで線形は一線スルーになっている。福井鉄道の鉄道線単線区間の行き違い可能駅のポイントは、すべてかまぼこ型のシェル ターで覆われている。雪がポイントに積もり、それが凍りつくのを防ぐためらしい。 水落駅にはパークアンドライド用の駐車場が設置されている。次の神明はJR形配線で2面3線であるがホームの位置はずれている。LRT 化で駅舎側のホームは嵩下げされず使用されない。神明は鯖江市のもう一方の中心で近くに国立鯖江病院がありJR北鯖江駅との中間地点にア ルプラザ鯖江がある。
神明を過ぎると右に急カーブして片面ホームの鳥羽中である。鳥羽中を出て左に急カーブして浅水川を渡ると赤十字前までは、ほぼ一直線で スピードが速くなったのを体感できる。 鯖江市内はどうして急カーブが多いのかは判らないが多分、家が立て込んでいるところを縫って線路を通したためと思われる。次の三十八社 は鯖江市と福井市の境界の田園地帯にあり相対式ホームの一線スルーの行き違い可能駅である。ここから次の浅水までは駅間距離が最も長かっ たが、2011年3月20日に新駅泰澄の里駅が開業した。駅名は福井市三十八社町にある泰澄寺に由来する。
浅水は島式ホームの一線スルーで行き違い可能駅で、近くに足羽高校や住宅団地があり、乗降客も多く駅員が配置されている。駅舎はログハ ウス風の新駅舎となっている。 浅水には大規模なパークアンドライド用駐車場が作られている。水落駅は無料だが浅水駅は有料で月極は1月3000円、フリーが1日300 円となっている。料金収受機が設置されていないため浅水駅が業務を受託している。
ハーモニーホール駅は福井県立音楽堂ハーモニーホールができた時に新設された駅である。それまでは浅水−江端間が最も駅間距離が長かっ た。ハーモニーホールの巨大な屋根は浅水駅からも見える。ハーモニーホールは国道8号線傍で600台分の駐車場があり、電車の利用は多く ない。ハーモニーホールは学生や婦人団体などの発表の場という感じで、観客も貸切バスで訪れる場合が多い。人気コンサートは福井市中心部 の福井市文化会館などのホールが使われる。次の江端は相対式ホームで一線スルーの行き違い可能駅である。2011年3月20日ハーモニー ホール−江端間に清明駅が開業した。
江端を出るとすぐに片面ホームのベル前となる。ここは1989(平成元)年に平和堂をキーテナントとした巨大ショッピングセンター・ベル ができた時に花堂南という名称で新設されたが、後にベルへの利用客を増やそうとベル前という現在の駅名に改称された。休日のみ駅員が配置 され、乗車券の販売や集札業務が行われていたがLRT化されてから駅員の配置は無くなった。 2010年3月25日から待望の急行が停車するようになった。
ベル前の次が相対式ホームの花堂でここから複線になる。1925年7月26日に開業している。1950年7月にここから福井新(現:赤十 字前)の間が複線化された。福井鉄道ではポイントを雪害から守るため交換駅のポイントはシェルターで覆われているが福井方面から来ると最初 のポイントシェルターが花堂駅にある。 JR越前花堂駅に近く利用客も少ないため急行は停車しない。JRの花堂駅は1960(昭和35)年12月15日に越美北線の駅として後から 開業したため、越前が加えられた。
赤十字前は島式ホームで有人駅。乗り場が2線で駅舎側が福井方面、北陸本線側が武生方面となっている。他に両側に側線が2本と電留線が ある。すぐ東側にJR貨物南福井駅があり貨物駅の向こう側の木田町とは地下道で結ばれている。地下道は1車線ですれ違いはできない。朝7 時から8時30分の間は歩行者と自転車のみ通行可能。 福井方面からは路面区間から分かれてすぐに赤十字前駅に到着する。2006年4月にLRT化され他の駅と同様にホームは嵩下げされてい る。朝夕に走る大型車は全ての駅でステップを降ろすことになった。 駅の南西約500mに福井赤十字病院があり、駅名が変更になった。
足羽山公園口から足羽川幸橋を渡ると市役所前を改名した福井城址大名町となる。ここは路面区間で最後に電停の改修が行われた。この時、 ホームの配置が千鳥配置から相対配置に変わった。福井駅前行きは福井城址大名町からスイッチバックして福井駅へ入る。以前、武生新(現:越 前武生)行きだけが止まる片方向の本町通り電停が存在したが幸橋掛け替え工事に伴い2002年7月15日限りで廃止となった。 普通列車は福井駅へ入るため、足羽山公園口から仁愛女子高校まで20分要する。福井城址大名町に到着した時下車して歩いた方が早い。こ れを解消するため福井駅と足羽山公園口直接結ぶ短絡線が計画されたが技術的問題で延期されている。
武生方面からの福井鉄道利用者は田原町方面より、福井駅前が圧倒的に多い。幸橋完成による時刻改正では利用実態に合わせて日昼は福井駅前行きとなった。田原町方面へは福井駅前からモ800形を使用したシャトル便が運行され、田原町方面へ行く人は市役所前で乗り換えとなった。不評のため2010年3月25日の改正で元に戻り一旦福井駅前へ入ってから田原町へ行くようになった。2016年3月27日から福井駅西口広場まで延伸され、福井駅前電停が廃止され、福井駅となった。富山県の万葉線が高岡駅ビルへ延伸して高岡駅となったのと同じく駅も駅名に含まれ英語表記はFukui-Eki Station。万葉線はTakaoka Station。
旧国道8号線のフェニックス通りから左へカーブして田原町へ到着する。駅の傍にフェニックスプラザがあり、福井鉄道の変電所も新設され た。ここには、えちぜん鉄道の三国港線の田原町駅があるが、京福電鉄の時は非常に連絡が悪かったが、えちぜん鉄道になってからは共通1日 乗車券が発売されるなど、連携する動きが出ている。 福井市は1945年7月19日の空襲で壊滅的被害を受け、復興間もない1948年6月28日に福井地震により再び壊滅的被害を受けた。 復興によりできた4車線道路に不死鳥のように蘇る町という意味でフェニックス通りと名付けられた。福武線は商工会議所前までフェニックス 通りを走る。 2016年3月27日からえちぜん鉄道三国芦原線との相互乗り入れが始まった。線路は複線のように見えるが、折返線と相互乗り入れ線で、 どちらの線路からも複線区間の上り線、下り線に入れるようになっている。