2024/10/20
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HP「北陸の私鉄」今日の壁紙
のと鉄道穴水駅に停車中のNT211ポケモンラッピング車
2024/09/07 撮影
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今日の列車(富山地方鉄道富山市内軌道線)
西町を発車した7018富山駅行き 2018/10/05 撮影
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宇奈月ダムうなづき湖の紅葉
尾の沼公園駐車場から下流側 2010/11/16 撮影
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今日の植物
砺波市庄川町水記念公園のハンノキ 2014/10/12 撮影
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バス運転手不足/観光需要増を生かせず 県内各社、
待遇改善急ぐ
22024年10月19日 05:00
10月上旬の昼過ぎ、北陸新幹線新高岡駅に到着した高速バスから次々に
外国人観光客が降りてきた。岐阜県高山市を出発し世界遺産の白川郷と五箇
山の合掌造り集落を見て回ったという。「どこを見ても美しい風景ばかり」。
フランス人女性は満足そうな笑みを浮かべた。
2023年5月の新型コロナウイルス5類移行後、県内を訪れる観光客は
急増。新幹線や飛行機と比べて運賃が安く、移動手段として使い勝手の良い
高速バスはインバウンド(訪日客)からも人気で、多くの利用が見込まれた。
ドル箱路線
運行会社にとってはコロナ禍の損失を取り戻す絶好の商機。だが実際は、
慢性的な運転手不足が増便を阻み、旺盛な観光需要を取りこぼした。富山地
方鉄道(富山市桜町)の林裕一自動車部副部長(54)は「需要に応える余
力はなく歯がゆい」と話す。
富山地鉄では、高速バスを巡る状況が早くから悪化していた。住民の足で
ある路線バスに運転手を回すため、収益性の高い長距離路線から相次いで撤
退。3月に富山−金沢線を廃止し、減便を続ける京都・大阪線、東京線は通
常の本数に戻るめどが立っていない。
ドル箱の名古屋線も2018年の14往復から10往復に減便を余儀なく
された。現在は路線、高速、貸し切りバスを含め183人の運転手がいるが、
必要数に対して26人足りない。趣味の社交ダンスを学ぶため月に4、5回
利用するという60代男性は「新幹線は料金が高い。これ以上減ると、本当
に困る」と言う。
賃上げ原資
県内の各バス会社は運転手確保に努めるが、そもそも必要な大型2種免許
を持つ人材が少ない。待遇改善も急務で、厚生労働省の賃金構造基本統計調
査(2021年)によると、全産業の年間収入が平均489万円なのに対し、
バス運転手は404万円と大きな開きがある。
ただ、賃上げ原資を確保するには増便や運賃の値上げが不可欠だ。イルカ
交通(高岡市二塚)の西村寛社長(50)は「中小企業の多いバス会社は、
世の中の賃上げの流れについていけない」と訴える。
国を挙げた観光立国への取り組みが本格化する中、問題山積のバス業界。
県内各社は、復職支援制度の導入や入社時の支度金増額、大型2種免許の取
得支援など賃金以外の待遇改善も進めているが、採用増につながるかは未知
数だ。
バス事業者コンサルタント業の高速バスマーケティング研究所(横浜市)
成定竜一代表(52)は「高速バスの運休・減便は富山への観光機会を減ら
してしまう」と影響を懸念する。(飯田章太郎)
高岡発名古屋行きの高速バスに乗り込む乗客=高岡市二塚
記事・画像:北日本新聞から