れた中古車は、前年同期と比べて台数で３割近く、金額は４割近く減少した
ことが分かった。日本政府が２０２３年８月にロシアへ追加制裁を行ったこ
とで、輸出できる車種が大幅に減ったことや、同国での中国車の浸透が背景
にあるとみられる。
１〜６月の伏木富山港からロシアへの中古車輸出台数は４万３４５台で、
前年同期の５万５０９７台から２６.８％減少した。金額は３８.２％減の
４２８億１６２４万円だった。全国の港に占める割合は台数は４２.０％、
金額は４３.３％となっている。
ウクライナ侵攻が始まった２２年、伏木富山港からの中古車輸出はバブル
状態となった。 年間では前年比７６.５％増 の１０万８２８１台と１４年ぶ
りに１０万台を超え、全国の港の中で占める割合は、台数、金額ともに５割
を上回った。
侵攻後は西側のメーカーがロシア国内の工場の操業を停止。現地での新車
供給が滞り、中古車需要が高まった。日本は当初、経済制裁として一部の高
級車の輸出を禁じたが、大半は影響がなく、国内各地とロシアを結ぶ大型輸
送船が相次いで運航停止となる中で、ロシア企業の船が発着する伏木富山港
に集中した。
日本は２３年８月の追加制裁で、ロシアへの排気量１９００ｃｃ超の自動
車やハイブリッド車、電気自動車の輸出を禁じた。伏木富山港からの同月の
中古車輸出は、前月から５１％も減少。その後はやや持ち直したものの、追
加制裁後は１万台を超える月はなく、６千台前後で推移している。
射水市稲積（小杉）の国道８号沿いで中古車輸出業を営むパキスタン出身
のナワブ・アリ・べーラムさん（６１）は「ロシアでは中国車がたくさん売
れているが、日本からの注文は少なくなり、頭が痛い。早く戦争が終わるの
を願うしかない」とこぼす。
中古車輸出ビジネスに詳しい富山高等専門学校国際ビジネス学科の岡本勝
規教授（人文地理学）は、ロシアでは中国の中古車が浸透しているとし「日
本車の需要は底堅いが、輸出規制が影響している」と話す。ロシアが輸入中
古車にかけるリサイクル税を引き上げるとの観測があることから、「そうな
れば輸出にさらにブレーキがかかるかもしれない」と指摘する。
（一川孝文）
