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岩瀬運河岩瀬橋下から、立山連峰と富山港線0604 2023/10/18
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万葉線・高岡軌道線米島口駅を発車したMLRV1006高岡駅行き
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富山県砺波市庄川町小牧の関西電力小牧ダム湖 2009/09/21
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南砺市栃原の旧サンタの森スキー場の蕎麦畑から
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南砺市の関西電力小原ダム湖畔に咲くウツギ 2014/05/25
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<公共交通のあした 城端・氷見線移管>
関西大の宇都宮浄人教授に聞く パターンダイヤ化重要
2023年10月28日 05:00
JR城端線・氷見線のあいの風とやま鉄道への経営移管が決まり、今後は
具体的な利便性向上策やその進め方、関係者間の財政負担・支援の在り方な
どが本格議論される。移管の評価や展望、課題について、関係者や識者、交
通事業者らのインタビューを随時紹介する。
新車両、景観と調和を
Q あいの風とやま鉄道への移管決定をどうみる。
「高く評価したい。全国の地域鉄道のモデルケースになる。鉄道は単に
レールの上を走る移動手段というだけでなく、地域のまちづくりのツールだ。
広範囲をカバーする大企業と比べ、地域のことをより自分事として考えられ
る地元の企業に任せる方がいい」
Q 地方鉄道の存廃や活性化を議論する国の「再構築協議会」制度に先駆け
た動きで、全国的にも注目を集めた。富山県で議論が進んだ理由はどう考え
る。
「二つあると思う。まず、富山県では住民レベルで公共交通を支える素地
があること。万葉線や富山ライトレールの例のように、社会的価値を踏まえ
地域の鉄軌道を残そうという事例がこれまでも見られてきた。城端線・氷見
線の活性化策を巡っても、行政だけでなく、RACDA高岡(路面電車と都
市の未来を考える会・高岡)など市民団体でも議論が起きた」
「もう一つは自治体の意識の高さ。県は現在、公共交通への支援を赤字補
填ではなく、投資の対象とみる先進的な計画を策定しており、城端線・氷見
線の議論のタイミングとも重なった」
Q 移管の適切なタイミングはいつだと思うか。
「早ければ早いほどいい。地元自治体が移管した方が利便性が高まると思
って進めているのだから、遅らせる理由はない」
Q 新型車両導入やICカード対応、増便、直通化といった利便性向上策を
進める上で重要なことは。
「全て重要だが、特に増便やダイヤの見直しは、利用者が便利さを実感する
上で大きい。毎時同じ時刻で発着するパターンダイヤ化して、本数を増やす
ことをぜひやってほしい」
「車両は、LRTを思わせるようなスタイリッシュさがあり、まちの景観
に溶け込むデザインにしてほしい。ICカード対応については、世界の潮流
のクレジットカードやQRコードも利用できるタイプなど幅広い選択肢を探
ってもいい」
Q 今後の課題は。
「あいの風鉄道のガバナンスをしっかりチェックしないといけない。例え
ば、今の社長が頑張ってさまざまな取り組みをしても、役員体制が変わると
続かないというのならいけない」
「その点では、上下分離方式にすると、『下』の鉄道施設を管理する行政
が、『上』の運行の役割を事業者に任せるというやり方なので、ある意味で
役割と責任がクリアになる。ただ、あいの風鉄道のような第三セクターが一
体で管理する手法も、上と下の意思疎通が円滑というメリットがある。どち
らが優れているというわけではない。各地域の状況に応じて判断すべきだろ
う」
Q 利便性の高い路線として長く守るには、行政が公共交通に今まで以上に
予算配分できるかも鍵だ。
「全体の財政が限られる中で、予算の配分バランスの見直しも必要だろう。
公共交通の活性化はまちづくりへの『投資』になるという考え方を、県民・
市民とできる限り共有すべきだ」
(聞き手・小幡雄也)
◆うつのみや・きよひと◆
1960年、兵庫県出身。62歳。日本銀行を経て現職。専門は交通経済
学。国内や欧州の交通事情に詳しく、関連の著書多数。持続可能な公共交通
の法定計画をつくる富山県地域交通戦略会議の委員で、同会議の鉄軌道サー
ビス部会長。
宇都宮浄人関西大教授
記事・画像:北日本新聞から